２月8日🌸自然と暮らす12か月🌸今日は何の日

2月8日針供養

針供養は、使えなくなった縫い針に感謝し、その労をねぎらう日本の伝統行事です。
毎年2月8日や12月8日に行われ、地域や神社によって異なります。
この日は、裁縫の上達を祈り、日頃の針仕事を支えてくれた針に感謝の気持ちを捧げます。

子供の頃の思い出は、祖母が豆腐に縫い針を指してお参りをしていた姿です。
「柔らかい豆腐に刺してあげると、針も気持ちが良いよね。」
そんな風に話してくれたような記憶があります。

今の時代は、家庭で女性が針仕事をすることが少なくなってきました。現在の針供養は、どうなっているのか調べてみました。

針供養

平安時代に、中国の「社日（土地神の祭日）に針線（針仕事）を休む」という古い慣習が日本に伝わり、針供養として定着したとされています。

江戸時代、針供養は庶民の間で広く行われていました。当時の女性にとって、裁縫は日常生活の重要な一部であり、針は高価で貴重な道具でした。そのため、使えなくなった針に感謝の気持ちを込めて供養する風習が生まれました。

針供養は、主に2月8日や12月8日に行われ、地域によって異なります。この日は「事八日（ことようか）」と呼ばれ、神様を迎えるために重要な日とされていました。庶民はこの日に針仕事を休み、使えなくなった針を豆腐やこんにゃくなどの柔らかいものに刺して供養しました。これは、硬い布を縫い続けてきた針を、最後は柔らかいものに刺して休ませるという意味が込められています。

供養の後、針を刺した豆腐やこんにゃくを神棚や仏壇に供え、手を合わせて感謝の気持ちを表しました。その後、針は紙に包んで寺社に納めたり、庭に埋めたり、川や海に流したりする地域もありました。このように、庶民は針供養を通じて、日常生活で使用する道具への感謝と裁縫の上達を願っていました。

現代の針供養

和裁や洋裁の教育機関や企業では、毎年2月8日や12月8日に針供養の行事を実施し、使えなくなった針を供養しています。

法輪寺（京都市嵐山）

法輪寺の針供養は、毎年2月8日と12月8日に行われます。
皇室で使用された針を供養するために始まったとされ、現在でも皇室から預かった針の供養が行われてます。
当日は、祭壇に供えられた蒟蒻（こんにゃく）に、飾り糸の付いた長い針を刺して供養します。針供養法要は13時から始まり、参拝者には甘酒の接待もあります。

浅草寺（東京都台東区）

浅草寺では、毎年2月8日に境内西側の淡島堂で針供養会が行われます。
日頃針を使用する人々が、用意された大きな豆腐に古針を刺し、針への感謝と裁縫技術の向上を祈願します。法要は午前11時から執り行われ、多くの参拝者で賑わいます。

めぐみのある北九州市では、門司区にある淡島神社で、毎年2月8日に針供養祭が開催されています。
針供養祭は、折れた針を粗末にせず、一所に集めて供養する祭事です。江戸時代から行われており、新暦の2月8日を「事始め」として行われます。
淡島神社の御祭神は少名比古那神で、裁縫の術を広めた親神とされています。針供養祭では、1年間の感謝の気持ちと、裁縫技能の向上を誓い、神前に向かいます。
針供養祭の後は、参拝者にはぜんざいが無料接待されます。

女性が仕事を休む日

針供養には、女性が針仕事を休む日という意味も含まれています。古くから、2月8日と12月8日は「事八日（ことようか）」と呼ばれ、物事を始めたり終えたりする大切な日とされてきました。この日には、つつしみを持って過ごすことが求められ、女性たちは針仕事を休み、使えなくなった針を供養していました。

また、当時は週休などの概念がなく、女性たちは毎日針仕事に従事していましたが、針供養の日だけは針仕事を休み、針を豆腐やこんにゃくに刺して供養することで、自身の労をねぎらう意味もありました。

このように、針供養は針への感謝とともに、女性が日常の針仕事から解放され、休息を取る日としての意味も持っていました。家庭内の仕事は、1日たりとも休むことが難しい中、家事を担ってきた女性たちにとって、針供養は自分たちをいたわる日だったのだと知り、感慨深く感じました。

自然の恵みに感謝して～